そっちの話 その3
「はぁ、姉達の相手は疲れる・・・」
ドッと手を突いてトルンはベッドに倒れこむ。
「さすがに今あのテンションは応えるね、話がよくとんでくし。」
マギも同じくため息をもらす。とかいいつつちゃっかりとジョボジョボと布をしぼりセルフサービスで顔や髪をふき取っている。
「マギさまー、○×△◇って?」またハナが同じ質問を繰り返し訪ねる。
「はっはっはっ、ハナちゃんは勉強家だね!」
「うんっ!あたし姉さまたちのお話解らないけどいっぱい勉強する!」
マギはニコニコとハナの頭を撫で回した。
それにトルンは無い体力を振り絞り必死に否定する。
「待った!ハナちゃんまでああなったら本気で泣きますからね!」
「あっははは、それ良いね!コレが本当の『姦しい』かっ!」
「良く、ありません!
ああ、どうか姉達に毒されず健やかに育ちますように・・・」と両手を組みでドコかに祈りをささげる。
「あ、そうだ、ウフトさんがくれたの付けて。」
「ああ、はい・・・」とトルンが手際よくお香に火をつけると部屋に香りが満ちてきた。
「あ。不思議な匂い!」とハナが喜ぶ。
「うん、なかなか。」
「姉もたまには役に立つものですね。さぁ、ハナちゃん。私達も出ますよ。」
「はーい、マギさま。お休みなさい。」
「うん、ハナちゃんもお休み」といってヒラヒラと手を振る。
「では、ごゆっくり」といいつつトルンは一礼しながら扉をしめる。
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変わって廊下。
あの姉妹が談義にふけっているとロエが思い出したように話を切り替える。
「そういえば、今日はマギさま何時にも増してご機嫌麗しくなかったですわ」
「ふふ、またあの子がマギさまに突っかかたのでしょう。マギさまと同じくらい傷つくのも自分なのに。」
「う~むむ、何て奥深いプレイなのかしら」
「・・・とワタクシが申しますのもハナちゃんが初めてコチラにいらした晩に隣の部屋で言い争っているのを聞き耳してましたのよ。」
「まっ、姉さま。」とロエは頬を赤く染める
「言い争いといってもトルンが一方的に責めてたんだけど。」
「ガーン、やっぱりそっちなのですわっ!」と今度は血の気を引いた。
「今日の香炉はマギさまへのお見舞いなのよ。」
「わたしだけ何もして差し上げられてないわ!」ロエが頭を抱える。
「でもワタクシも乙女ですから、少しそれだけでは物足りないと思いまして・・・」
「思いまして?」
「あのお香の中に数本もの凄く誘淫効果の高い香りをまぜておきましたわ。」得意げに自分の悪行を暴露するウフト。
「んまー!んまー!」ロエは大興奮といった感じでフンフンと鼻息を噴出する。
「もしかしたらロエが好きなパターンになるかも知れないわね。」
「キャーキャー!姉さま大好き!」ロエがウフトに飛びつき喜ぶ。
一方、少しココから離れた廊下を通るトルンとハナであった。
(・・・何か変だな?)
・・・とトルンは身体に違和感を覚えつつも調子が悪いというわけでもなさそうなので首をかしげながらも無視することにした。
また一方では、一人部屋に取り残されて先ほどの木箱に入ったお香を一つ取り出し掲げて眺める。
「だーかーらー、ボクに薬物の類は意味ないって」
・・・と苦笑しながらも
今度、釣られたフリをして姉達の前でどうふざけてやろうかと企んでいた。
- 2007/10/30 (火) 22:44
- 閑話 その1