実践編
ドンドンドン
扉を激しく叩いている。騒がしい。
もう日も陰る頃、私は日記を書く手を止めた。
「どうぞ」
バンっ
ワザとうるさくしたようにドアを開けたのは我が夫・皇帝である。
私は目を丸くした
手には大刀が握られている。
その背後には武装した兵士に守られたルーの姿があった。
まさか・・・?
「どうしたのですか、皇。何かあったのですか」
「どうしたも、こうしたもあるかっ!」
声を大きくして怒鳴った。
顔が真っ赤だ。この人は怒ると鼻の穴がひくひくさせる癖があり少し滑稽にみえた。
かまわず夫は罵声と唾液を私に浴びせる。
「貴様!ルーを不老不死にしようとしているだろっ!
禁断の儀式・マギ!千人の生き血を浴びることによって永遠の命を得るなんて馬鹿げているっ」
やっぱり・・・
どこから聞いたのか。このあいだ手伝ってくれた侍女かもしれない。
次の999人目にしようと思ってたのに。
「・・・ふっ・・・ほほほ。それだけではありませんわ。圧倒的な魔力と自己再生能力を得るのです。」
余裕ぶってみせたが内心は気が気でない。今の状況からして待ち受ける結果に身を凍らす。
恐らく何を言おうと結果は代わりはしない・・・ならば・・・
「そんなことのために我が民を傷つけたのかっ!」
「そんなことが私の最大の願い・・・それに民だけではありませんわ・・・皇族もこの手で・・・フフフ」
壊 れ て み せ よ う ・・・
「・・・っ!」
今の今まで私のしてきた事に、気付かなかった彼を嘲称す。それに目を見開き怒り狂う巨体が刀を振り上げそのまま落とす。
バサ
瞬間・・・妙な開放感に不快を覚え、視線を落とすとざっくり割られた胸から血が噴き出しているのが見える。
遠く意識が抜け落ち、私はそれに引っ張られるように身を任せる
「かぁさまっ!」
倒れこみ血溜まりを広げ続ける私に泣きながらルーが抱きついてきた。
ぴちゃりと幼い手が真っ赤に染まる
あぁ、これで999人目だわ・・・
あと一人なのに勿体無いこと・・・
流血・暴力的表現あります。
- 2007/11/08 (木) 23:45
- マギの作り方