作戦の火蓋
「 はーっくしょい!うー、昨日は全然くしゃみが止まらなかったな、誰かオレの噂でもしてたんかな・・・」
あまり寝ていないのか眠たそうに井戸から水を桶で汲んでいるルイスがいた。
「 ルイスさん。おはよう!!今日はとてもいい天気だねー。
小鳥のさえずりがまるでこの日を称える歌のようだー。
こんな日は何か起こりそうな予感がドッキドキっ!
と、いうわけでジーナさんが納屋の前で胸を高鳴らせて待ってるよっ!」
「 なんだ・・・マギ」
朝から妙なハイテンションで話しかけてきたマギについていけずルイスは冷めた反応をした。
「 んんんん~~ダメダメダ~メ!!
ルイスさんの独身生活に終止符をうてる機会かもしれないのにそんなのり気じゃないのはジーナさんに失礼でしょ。ビバっハッスル!」
妙なポーズでズビシとルイスを指差した。沈黙が流れる。
「 ・・・っマギっ!それはどういう意味だっ」
しばらく考えたのちルイスは顔を真っ赤にして聞き返す。
「 あーもーっ!この鈍チンがっ!
女の人に恥かかせちゃ駄目でしょっ!
押し倒すぐらいの勢いでいってらっさいっ!」
「 おっ・・・押し倒す・・・押しっ・・・オッス!!」
むきぃと鼻息あらくルイスが覚悟を決めたように両腕でガッツポーズをした。
「 ふぅ、まったく上手く行くのかしら」
ぽつりとため息を漏らす。ジーナは心配そうに納屋の前で待機していた。
「 ジジジィ・・・ジーナ・・・っ」
ルイスが顔を真っ赤にしてジーナに話しかけた。声がところどころ裏返りながら
「 おっおっ・・・オレに用があるみたいだけど・・・」
「 ルイス・・・こんなこと迷惑なんでしょうけど・・・あたしっ」
ジーナは後ろ手でモジモジとしている。ルイスはジーナの肩をがっしり持つと吐き出すように言った。
突然のことにジーナは驚く。
「 ジーナっ!!実はオレは前からお前がっ・・・!!」
「 んもーーーーーっ。ちがぁーーぅ」
どカコーン・・・
ちょうど良いところに桶があったのでジーナは力任せにルイスを殴りつけた。
とても小気味いい音があたりに響く。
ドォっと眉間にクリティカルヒットを喰らったルイスが足元に倒れこむ。ピヨピヨと目を回している。
「 はぁはぁ、マギったらどういう誘い方したのかしら・・・。もぉこういうときにナカナカ開かないんだから・・・おかげで計画と違うし・・・」
ブツブツと文句をいいながら眠り薬のビンをマジマジと見つめる。
「 どぉだった?上手くいった」
ニコニコとマギが顔をだした。
「 ちょっと予定が狂ったけど結果的には上手くいったわ、うん」
「 さすがジーナさんだねー。3日ぐらい寝てそうな勢いだ。眉間のど真ん中だったし。
でも念のため薬を使った方がいいんじゃない?」
「 (・・・やっぱり見てたんだわ)マギ・・・あんたどういう誘い方したのよ・・・」
ジーナはガクリと肩を落としてヤレヤレといった感じにあきれながら言った
「 う~ん。ボク的に効果ありそうなのを選んで・・・」
「 はい、もう良い。よ~くわかったわ。
じゃ、縄で縛ってから納屋に放り込んでおきましょう。あ、マギ足持って」
「 え、ボク箸より重いもの持ったこと無いのに・・・どっこいせ、うぁ、やっぱり重いっ!」
「 馬鹿いうんじゃないわよ、あたしなんか上半身でもっと重いんだからっ・・・と、持ち上がらないわね。このまま引きずるしかないわ。」
「 うぇぇぇ。ジーナさんボク腕ちぎれそうだ」
「 とれた時は5秒以内につければ くっつくらしいわ。」
「 ジーナさん・・・それは無理でしょう・・・」
ズリズリズリ・・・
地面にルイスの背中を引きずりながら納屋に収めはじめた
------- 間 --------
「 ふぅ・・・これだけ縛れば大丈夫よね」
「 十分すぎると思うんだけど・・・ジーナさんってやる事が結構大胆だよね。」
目の前にはミノムシのように縄でグルグル巻きのルイスが転がっていた。
「 ・・・これからロジャスが来たらどうするつもりなの?」
「 来るのはわかっても相手がどうでるかわからないからね。
成り行きにまかせるとしかいえないけど・・・。
一応ルイス暗殺はこうして成功したことにしといて娘さんを助けるのが最初だね。」
「 ・・・ルイス。ごめんなさいね。」
「 ルイスさん・・・良い夢みてね。」
ジーナはルイスに一言あやまり二人は納屋を跡にした。
明朝、作戦の火蓋はきられた
- 2007/11/09 (金) 00:06
- 働くお母さん